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チェック! ローカルファイル(その3)

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データリバイスは毎年必要?

法的には、ローカルファイル(LF)の作成要件に該当すれば、LFを作成しなければなりません。しかし、皆さんの中には、LFは、昨年度作成したから今年はパスして、3年に1度ぐらいのペースで、データのリバイス(改訂)をすればいいだろう――とお考えの方もおいでではないでしょうか?

その1つの理由として、LFをリバイスするにも、お金がかかるから――ということもあるでしょう。それでなくても会社の経費削減が厳しいことから、そのような判断をされる場合もありえます。

実際、私たち実務家に対して、毎年、比較対象取引の数値データのリバイスは必要ですか?とお尋ねになる方は少なくありません。

たしかに、国外関連者のデータを取得するだけでも、一国外関連取引で数10万単位でかかることもあり、複数の国外関連者を有している場合には、リバイス費用だけでもバカにならないのが実状です。

ただ、ここで注意しなければならないことは、LFの適正利益率の算定が、どのように行われているか、その仕組みから生じる、いわば「落とし穴」を知っているか、いないかで、判断が変わる場合があるということです。

適正利益率算定の仕組み

例えば、2020年3月期のLFの適正利益率を算定しようとした場合、他社の2020年3月期のデータを、データベースを使用したとしても抽出はできません。せいぜい2年前の、すなわち2017年3月期以前のデータを取り得るのが現実です。

LFの作成に当たっては、実務では、過去3年分のデータの加重平均による値を用いることが多いでしょうから、比較対象取引で用いられるデータは、2015年3月期から2017年3月期の3年分となります。一番古い期のデータが2015年ですから、2020年から見れば、実に5年前の財務データから成る適正利益水準と「比較」することになります。

産業全体の趨勢は?

さて、そこで注視したいのは、検証を行う産業全体が、上昇傾向なのか、下降傾向なのかということです。

仮に、イケイケドンドンであった場合に、利幅が、昔より良くなっている場合もあるでしょう。同じイケドンであっても、競業他社の新規参入が増え、利幅は逆に取れない、ということもあるかも知れません。同じことは、衰退産業にあってもいえます。

ここで仮に、国外関連者側で検証を行っており、外国の税務当局がうるさいので、国外関連者に厚く利益をつけるようにしていたとしましょう。つまり、適正利益水準の上限値で価格設定をしていたとします。ただ、実態として、2020年の他者データを取ったならば、全体のレンジは下がっているとしましょう。つまり、産業全体で見た場合に、利益率が下がっている場合です。

レンジが変更される!?

さて、実態がそうなっていた場合に、その事実が顕在化する場合があります。どんな場合でしょうか?

実に簡単です。当局が検証を行う場合です。当局が検証を行う場合は、2020年3月期の申告データが出た後です。2-3年経過すれば、2020年のデータは、データベースを使えば、難なく入手できるわけですから、その比較において、国外関連者側の実績値がレンジから外れていることが判明してしまいます。

ただ、調査における移転価格の検討に当たっては、まず、LFに基づいた価格づけが行われていたかを、あくまでも「当時」にもとづき検討しなければならないため、一義的には問題とならないでしょう(これは当局による「後知恵の禁止」とも言われます)。

しかし、もし、当局の調査において、何かの要因で(例えば、取引単位や切出計算に問題があるなどの指摘から)適正利益率レンジの算定が当局において行われることになれば、それは、2020年のデータが使われることになります。決して、5年前のデータを含む3年間のデータではないのです。

判断できるのは会社だけ

以上の取り扱いとなることを前提に、事業を行っている産業全体が、劇的に衰退あるいは上昇している産業かを念頭に、LFのリバイスを毎年ビビットに行うか、まあ3年に一度でいいかを判断することも重要なのです。

この判断は、まさに主戦場で戦う皆さんしか判断できないことでもあります。

さて、以上のことが、本シリーズの(その2)の最後に申し上げた、「すでにLFを作成しているので、今期は問題はない、とお考えの方もおいでかもしれません。だた、その場合には、ちょっと注意しなければいけないこと」の1つでした。

(本シリーズ続く)

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