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チェック! ローカルファイル(その2)

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ローカルファイル(LF)の作成を依頼され、数か月後、完成したLFを会社にご説明に上がると、会社の方からこんな質問を受けることがあります。

「会社の実績は、適正利益率レンジからずいぶんかけ離れていますが、どうにかなりませんか?」

つまり、移転価格上の問題があるのですが、対象となる事業年度はもう終了しており、そのため、このままだと調査で指摘されそうなので、先の「どうにかなりませんか?」という問になったのです。

私どもの回答は、「ここに至っては、どうしようもありません」
「じゃあ、どうすればよかったのですか?」
「移転価格上の調整をはかることができるように、もう少し早い段階でLFを作成するとよかったということになります」
「じゃあ、今回、せっかく作成したLFは、無駄だったということですか?」
「まず、法律の作成要件を満たしているので、その点では有用だといえます。そしてまた、いま進行している事業年度では、おおいに参考になるでしょうから、決して無駄とはいえませんよ」
こんなやり取りが展開されることになります。

移転価格文書を作成することに関して、基準にひっかかるため、いわば「義務」として作成しているという感覚の方々もおいででしょう。そうなると、とりあえず作成しておけ、となるのでしょうが、このシリーズの前回で取り上げたように、LFと会社の実績値を比較する必要があります。最終的には、もとめられた適正利益率レンジ内に収まっていないと、みずから作成したLFで、「移転価格の問題あり!」と宣誓してしまうことになります。そうならないためにも、作成の時期を、よく考えておく必要があります。

では、本当は、いつまでに作成すればよかったのでしょうか?

ベストは、事業年度が開始される前です。それが無理なら、移転価格上の問題が生じないようにするために、何らかの対応をはかり得る時期までに、となります。おおむね期央ぐらいまでにできていた方がよいでしょう。なぜなら、その時期ぐらいまでにできていれば、それまでの取引価格が、移転価格上、適正であったかを余裕をもって検証することもできるからです。

最悪、期末までに完成していればよいのではないか、とお考えの方もおいででしょう。ただ、実務的には、それでは決算までに、移転価格上の検証と、問題が生じた場合の対応ができなくなります。仮に、国外関連者に製品などを高く売りすぎていた場合に、それらを申告調整(法人税別表4)にて減算することは認められませんから、注意が必要です。また、価格調整金という方法で行う場合にも、いくつか課題があることから、慎重な対応が必要となります(本シリーズで別途扱います)。

読者の中には、前期以前で、すでにLFを作成しているので、今期は問題ない、とお考えの方もおいでかもしれません。だた、その場合には、ちょっと注意しなければいけないことがあります。この点については、次回取り上げるといたしましょう。

(本シリーズ続く)

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