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チェック! ローカルファイル(その1)

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はじめに

平成28年度税制改正により整備・導入された移転価格文書化ですが、前期の取引合計額50億円以上、あるいは、無形資産取引合計額3億円以上の作成基準を満たす大方の企業は、ローカルファイル(LF)を準備・作成され、実質的に調査初年度となるこの1年を終えられたことと思われます。

新たな一年を迎えるにあたり、弊法人に、他の会計事務所によりすでに作成されたLFが持ち込まれことがあります。データのアップデート、LFに関する質問、セカンドオピニオンなど拝見する理由はいろいろです。

そうした機会を通じ、いくつか気づいた点で、皆さんにも「念のためにチェックをしていただくとよいと思われる点」を、数回にわたりお知らせしたいと思います。そして、もし読者の企業のLFがそれらの事項に該当する場合は、税務調査を受ける前に、何らかのご対応をはかられることを、お勧めいたします。

今回のテーマ

今回のテーマは、「結果の記載はあるか?」です。

LFを作成する目的は、はたして何でしょうか? LFの規定と考えられている、租税特別措置法施行規則第22条の10第1項(以下、「規定」といいます。)では、第1号において、国外関連取引の内容を記載した書類を、第2号で、国外関連取引に係る独立企業間価格を算定するための書類を求めています。とりあえず、これらがあればOKとなるわけです。

ちなみに、LFという用語は、OECDのBEPSプロジェクトの行動計画13の中で用いられた用語で、それが、わが国で平成22年度税制改正に新設された上の規定とマッチすることから、規定が詳細に求める資料をLFと呼んでいるに過ぎません。

ここで注意したいことは、どうして規定の書類を作成するのかです。それは、とりもなおさず、対象となる事業年度中の国外関連取引が、独立企業間価格により行われたか否かを、税務調査において調査担当者が確認可能にするためです。

はたして、皆さんのLFには、独立企業間価格により行われたか否かの結果が書かれていますか? 確認してみてください。

LFの役目

作成されたLFに、仮に、対象となる事業年度中の国外関連取引が、独立企業間価格により行われたか否かの結果が書かれていなかったとしても、決して不備でないことは、今までの説明でご理解いただけたでしょう。

ただ、誤解されてはいけないことは、その場合は、ちゃんとどこかで、結果の検討を行っていなければいけないということです。

ちなみに、弊法人が作成させていただいているLFには、その結果までを記載しています。ただ、会計事務所のLFの中には、それが書かれていないというだけです。

ちゃんと切出損益計算を行っているか?

もし、最終結果の記載がLFにない場合は、切出損益計算を御社内で行っているかを確認しなければなりません。LFの移転価格算定方法が、例えば、国外関連者側の全社損益を用いるTNMMであれば、容易に実績値が求められることも考えられます。

しかし仮に、次に挙げるようなケースでは、切出損益計算を行うには、相当の時間と手間がかかるでしょう。

  • 国外関連者が製品を、一部は第三者に販売し、残りを、日本の御社やグループ内の他の国外関連者に販売しているケース
  • 国外関連者が製造した製品を、日本の御社が全量買い戻しているケース
  • 国外関連者が製造した製品の販売にあたっては、グループ内の他の国外関連者(販社)を用いて販売しているケース

こうしたケースでは、LFにおいて、「独立企業間価格」、あるいは、「適正利益率」などが示されていたとしても、それらは単に絵に描いた餅になってしまいかねません。

調査において、調査担当者から、LFの提示・提出を求められ、LFが出来てさえすれば、てっきり移転価格の問題の有無の検証は終わっていると誤解されている皆さんは、いま一度、最終結果がどんなふうに書かれているか確認して見てください。

そこに、「独立企業間価格」、あるいは、「適正利益率」とともに、実績値が比較されて記されており、移転価格上の問題の有無が明記されていれば、ひとまず安心してよいでしょう。書かれていない場合は、何らかの対応を、速やかに取られることをお勧めいたします。

(本シリーズ続く)

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