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各国移転価格NEWS~カンボジア~

OECD移転価格ガイドラインに沿ったかたちで移転価格税制の法整備はASEAN諸国においても次々に進められています。シンガポール、マレーシア、インドネシア、ベトナムに加え、2018年10月にはタイでも新移転価格税制が発効し、2019年1月から適用される予定です。そうした中で今回は、着実にOECDの推奨する移転価格税制に沿って法整備が進められているカンボジアの状況をみてみましょう。

2017年9月、カンボジアはOECDが主催する税務情報交換フォーラム「税の透明性及び税務目的の情報交換に関するグローバル・フォーラム」に加盟しました。国際的な税の透明性向上、国際的な租税回避行為の取り組を事実上開始したといえるでしょう。このフォーラムに参加したことにより、今後カンボジアも、要請に基づく情報交換(EOIR)と自動的な情報交換(AEOI)、そのための共通報告基準(CRS)等に関する国際基準の導入を進め、国際的な課税逃れを防止するための規制を今後、順次厳格化していくこととなるでしょう。

さらに、10月にはOECD移転価格ガイドラインに基づく初めての移転価格税制、省令986【PrakasNo.986(“Prakas”)】が発効されました。そこでは独立企業原則、比較対象取引、移転価格算定方法、無形固定資産やグループ内役務提供に関するガイダンス、移転価格を規定する省令不履行に係るペナルティなどについて規定されています。関連者間取引のある企業は、移転価格文書のうちローカルファイルを作成し、税務当局から要請があった場合には提出しなければなりません。同省令には特に規定がないため、国内取引にも適用されるでしょう。一方、法人税申告の際には、指定フォームで関連者間取引リストを提出することが義務付けられてもいます。

同省令の適用初年度の明示はないものの、マレーシアでは2012年に移転価格税制が導入され、2009年から遡及適用された例もあることから、カンボジアにおいても、省令発行の2017年10月10日から遡って適用となる場合も大いにありうるため、関係者は注視しておく必要があるでしょう。

さて、移転価格文書に関する規定についてもう少し詳しくみてみましょう。省令第18条は、納税者に移転価格文書(ローカルファイル)の作成に係る指針を提供しており、納税者が移転価格文書に以下の情報を含めることを促しています。

①納税者及び関連者に関する一般情報
 ・納税者のグループ構造及びグループ内関係に関する情報
 ・納税者及び関連者の事業内容の詳細
 ・事業開発戦略及び投資計画に関する文書
②納税者の関連者間取引に関する情報
 ・関連者間契約及び製品とサービスのフローチャート
 ・製品情報の説明
③納税者の移転価格ポリシーの詳細
 ・納税者及びグループ関連者の価格ポリシーの詳細
 ・納税者の関連者間取引の利益率
 ・最適な移転価格算定方法の選定の根拠

ローカルファイルの作成にあたっても、取引額などの金額等の要件の明示はなく、また会社規模等による免除規定などの詳細規定は未だないものの、法整備の進んでいるASEAN諸国の要件と類似すると予測されています。たとえば、シンガポールでは、全関連者からの棚卸資産の購入販売が1,500万SGD以上の場合に文書化義務が発生する等の規定がなされており、それらの要件などが参考になるでしょう。文書の言語については、税務当局は、正式に当局に提出するすべての書類はクメール語により作成するよう義務付けていることから、仮に英語による文書を提出した場合には、クメール語への翻訳が要請される可能性があるでしょう。

移転価格文書の提出期限についても規定はないものの、これらの記録は10年間保存しておくことが義務付けられていることから、税務当局から要請があった場合には提出しなくてはならないとしています。

カンボジアでは、OECD移転価格ガイドラインに準拠した移転価格文書の作成を強く推奨しており、BEPS行動計画13の最終報告書の指針に合わせることが望ましいとの方針を示しています。そのため、今後、マスターファイルや国別報告書の提出も義務付けられていくものと思われます。

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