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最近の相互協議の状況について

1月21日(火)に開催されたセミナー「最近の相互協議の状況について」に出席してきました。講師は、国税庁長官官房相互協議室課長補佐の石原茂行氏と古賀昌晴氏でした。
セミナーでは、概要についての説明は少なく主に各国との相互協議の状況について、詳細な解説が行われました。

アメリカ・欧州との相互協議については、総じて順調と話されていました。しかし、中国・インドを中心とした新興国との相互協議については、順調とは言い難い様子で、多くの時間を割いて解説していたのが非常に印象的でした。

今回特に多くの時間を割いて解説された中国・インド等の相互協議のポイントは、以下のとおりです。なお、以下のポイントは、私がセミナーに参加した際のメモであり、内容の正確性等については専門家にお問い合わせください。

1. 中国
(1) 現在の状況
 相互協議の期間は総じて長く、3~6年が一般的となっている
 相互協議の回数は年間3~4回を予定しているが、開催がスムーズにいかない
 相互協議においては、お互いが譲歩する必要があるが中国側は譲歩しない
 ロケーションセービング・マーケットプレミアムの議論を求めてくる
 比較対象法人は中国以外の国の法人を選定してくることが多い

(2) 当局からのアドバイス
 親会社が積極的に中国子会社に介入して、移転価格税制上の問題が生じないようにする必要がある
 中国の税務当局に相互協議申立てを受理してもらうことを重視するあまり、中国側に偏った申立書を作成することは、協議を難航させるため望ましくない
 現在の状況では完全合意は困難。部分合意でも受け入れる覚悟が必要

(3) 所感
中国との相互協議は明らかに難航している様子が伺えた。中国側の態度の軟化は、直近では難しいと思われた。納税者としては、自助努力により対応する必要がある。

2. インド
(1) 現在の状況
 世界の移転価格に関する裁判例の7割はインドで発生していると言われ、移転価格課税の問題は相互協議より訴訟で解決される傾向がある
 相互協議の件数は増えてきており、これまで年間数件だったものが2013年7月~12月は10件程度の申立が行われた
 争訟手続(不服申立・訴訟)と相互協議は同時並行で進行し、どちらかの手続きを先行させるということができない
 下級審で敗訴しても最高裁まで争うケースが多い
 APAの審査には前向きな姿勢
 インドではPE課税が多かったが、同じ論点で移転価格課税が行われるケースが存在する

(2) 当局からのアドバイス
 訴訟で確定した結論を相互協議で覆すことは難しいため、訴訟で結論が確定する前に相互協議で合意している場合は、訴訟を取り下げることが望ましい
 合弁での事業の場合、インド側株主の意見を調整する必要があるが、その点は納税者が責任を持って調整して欲しい

(3) 所感
インドとの相互協議が本格的になってきたのは最近のことであり、現在は協議回数が少ないためスムーズに進んでいないようであった。しかし、今後協議回数が増えるにつれ、相互協議もスムーズに進む可能性が高そうであると感じた。

3. インドネシア
 相互協議がスムーズに行われているとは言えない
 相互協議と訴訟を同時並行で行うことができるが、訴訟が優先される
 APAの対象期間は合意してから3年、協議中はオープンであり課税できる

4. タイ
 以前に比べれば相互協議はスムーズに行われている
 還付手続きは3年間しかできないため、相互協議に合意してから還付申請しても間に合わない可能性が高い
 相互協議申請時に還付請求書を提出するケースもあると聞いているが、詳細については現地の会計事務所に確認が必要
 相互協議に合意しても取引をロイヤルティ取引に変えて源泉税を課税したり、課税日に遡って延滞税を課税するケースもあったが、現在はそういった手法は行わないようだ

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