移転価格辞典
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マレーシアの移転価格税制

法制度

  • 移転価格税制は、租税回避防止規定でもある1967年の所得税法第140条の包括租税回避行為否認規定及び第82条の記録保存に係る条項に規定されていた。140A 条ではMIRB長官に対して、関連者取引について独立企業間価格に基づいて課税を行う権限を与える
  • マレーシア内国歳入庁(MIRB)は2003年7月2日に、OECD移転価格ガイドラインに準拠したマレーシア移転価格ガイドラインを公表し、移転価格税制の執行手続きを明確化した。同ガイドラインでは、1. 独立企業価格の定義 / 2. 関連者の定義 / 3. 比較可能性の検討要素 / 4. 独立企業間価格算定方法 / 5. グループ内役務提供取引の取扱い / 6. 文書化等について規定を置いている。
  • 所得税法に移転価格と資本計上に関する140A条項が制定され、2009年1月1日より施行。
  • 2012年に2003年の移転価格ガイドラインの改訂版が発行。
  • 2014年に申告時に移転価格税文書を準備しているか否かを申告させる規定が導入。
  • 2017年1月より年次国別報告書の最終規則が実施される。OECDガイドライン行動計画13に準拠。

移転価格算定方法

  • OECD移転価格ガイドラインに定める方法と同等の内容で、CUP法、RP法、CP法、PS法、TNMMが適用される。納税者は適切な方法を選択することが認められている。
  • 独立企業価格の算定にあたって、比較可能性について、各算定方法別に検討事項が明記されている
    (❡7.3.3、 7.4.3及び7.5.4)

申告時の情報開示

  • 納税時にすべての関連者取引に関する情報を開示しなくてはならない。
  • 納税時に準備されていることが要求される。要求される内容は以下の通り。
    ・グループ内売上 / ・グループ内仕入れ / ・すべての関連者取引き / ・関係者から、あるいは関係者へのローン / ・その他関連者間の勘定。

移転価格文書

  • 2012年の改訂移転価格ガイドラインで移転価格文書作成義務規定。下記の内容のうち(a),(b),のみについて記載した短縮版文書を作成することも短縮版文書も認められている。
  • 同時文書の作成が毎年求められる。作成すべき同時文書の内容は、
    a) 組織概要(グループ間資本関係図を含む) / b) グループ各社の財務内容 / c) 事業内容/業界・市場の動向 / d) 関連者取引の概要 / e) 価格移転方針 / f) 価格設定方針に影響する前提条件等 / g) 比較対象性/機能リスク分析 / h) 移転価格算定方法の選定 / i) 選定された移転価格算定方法の適用 / j) 関連するAPAのリスト / k) その他移転価格分析に用いられた情報等
  • 納税者は税務申告書と同時に移転価格文書を提出する義務はないが、納税提出の期限までに準備されていなくてはならない。MIRBから要求があった場合には提出することが求められ、30日以内に提出しなくてはならない。できなければ罰則が課せられる。
  • 納税期限は事業年度終了から7か月である。
  • アセスメント2014では、納税時に移転価格文書の準備をしているかどうか申告することが義務付けられた。
  • 移転価格文書の記載事項は、1. 会社情報 / 2. 取引に関する情報 / 3. 独立企業価格の算定、である。さらに、所得税法第82条で、移転価格文書とは別に十分な記録(帳簿、請求書、領収書等)を7年間保存することを義務付ける。
  • 言語はマレーシア語または英語
  • 2017年1月1日より国別報告書の最終規則が施行。国別報告書規則はマレーシアに親会社のある多国籍企業で、CbC報告事業年度の前年の事業年度の連結グループ収益が30億RMを超える場合に適用される。たとえば、2017年12月31日が事業年度最終日にあたる多国籍企業にとって、2016年12月31日までの連結総収益が30億RMを超えるかが適用基準となる。報告する企業は究極の親会社であるか、場合によっては代理の持株会社でもよい。代理の持株会社は親会社に任命され、所在地がマレーシアである企業を意味する。
  • CbC報告書をMNEのどの事業体が行うかは報告事業年度の最終日までに当局局長に知らせなくてはならない。たとえば、2017年12月31日が事業年度の最終日となる事業体は、2017年12月31日以前に通知を行わなくてはならない。CbC報告書の提出はその年の事業年度の終わりから12か月以内になされなくてはならない。CbC報告書の最初の提出は2017年12月31日の事業年度終わりであれば、2018年12月31日締切りとなる。
  • CbC報告書は、収入、税金、従業員や事業活動についての情報を含んだ、多国籍企業の国毎に基づ情報が含まれなくならない。

罰則

  • MIRBは2009年1月に「Tax Audit Framework」を公表し、❡10でペナルティについて規定している。
  • MIRBからの要求時に30日以内に提出できない場合、同時文書を用意していないとみなされ、移転価格課税が行われた際に追徴税額の25%から35%が課される。
  • 移転価格文書がガイドラインに沿っていないときにも追徴税額の25%が課税される。
  • 更正が二度以上になると、更正による追徴税額に対するペナルティは20%アップし、上限は100%である。

挙証責任

  • 納税者側にある

APA

  • 2009年よりAPAが導入され、ユニラテラル、バイラテラル、多国間APAが可能。
  • APAは納税者が次の条件を満たしていれば適用される。
    ――納税者は所得税法の下で課税される企業であり、売上がRM10,000、000であること、売上が取引の50パーセントあること、全売上価格はRM25以上。
  • 確認対象期間は3年から5年。
  • 確認対象期間開始の12か月前までに事前相談を申し込まなくてはならない。その際に移転価格文書を添えなくてはならない。納税者に対し、事前相談の申請の前に事前協議が要請されている。

その他

  • 移転価格ガイドラインは以下のような納税者を対象にしている。
    • 総収入がRM25,000,000を超え、関連者取引総額がRM15,000,000を超える事業体
    • 個人が財政援助を行っていて、RM50,000,000を超える援助の場合
  • マレーシアの移転価格税制の適用は、国外関連取引だけではなく、マレーシア国内での関連者間取引も適用範囲に含まれる。
  • 上記の「関連者」の定義は、2つの企業のうち、一方がもう一方を直接、または間接的に他方の経営、支配または、資本参加を行う場合、これらの企業は関連者の関係にあると位置づけられる。「支配関係」とは、ある者がある会社の持分の過半数を所有する場合または、精算時の残余財産に対する過半数の請求権を有する場合において支配関係があるとする。
  • 比較対象者を選定する場合、海外の企業を対象とすることはできない。もし、国内に比較対象者を見つけられない場合はその旨を説明し、ASEAN、ASIA Pacificから選ばなくてはならない。
  • マレーシアや他の国が同時にCbC報告書を交換する準備をしていることを考えると、移転価格の論議が高まっているといえよう。言ってみれば国境を越えて税当局がCbC報告を利用できるになっている。このように、良識ある納税者や多国籍企業は自分たちのグローバルな価値を再検討する機会を利用し、自分たちの利益を評価することが可能となる。データにおいてミスマッチがあれば税当局に再検討を行うよう要請できるだろう。
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