移転価格辞典
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第三者と新たに取引を始める場合

【Q】
当社は、移転価格文書を例年作成しており、TNMMにより海外子会社の利益率を検証しています。今般、海外子会社所在国にある第三者企業と、同様の商品の取引が始まります。このような場合に何か気をつける点はありますか。

【A】
新たに始める第三者との取引が基本三法により検証可能な取引かどうかの確認を行い、その結果を移転価格文書に取り入れる必要があります。

【解説】
独立価格比準法は、価格を直接比較する方法であるため、適用できる場合は最も高い比較可能性を有すると言われています。また、再販売価格基準法や原価基準法も、他の方法に比べて比較可能性が高くなる傾向にあると言われています。会社が国外関連者と行う取引と同様の取引を第三者とも行っている場合、仮にTNMMなどで移転価格の問題が無いと検証できたとしても、より高い比較可能性を有する検証となる基本三法が適用できる場合は、それらの方法による検証により、移転価格の問題があるという結果が生じる可能性があります。

したがって、TNMMなど利益法を適用する場合でも、基本三法を適用する余地がなかったかという確認は必要です。

この場合、新たに実施する取引が基本三法により検証可能な取引かどうか、現時点での事実に基づいて評価します。仮に国外関連者取引と価格が異なる場合は、その理由としてあげられる取引条件の違いをまとめ、移転価格文書に示すことが望ましいといえます。

なお、財務・経理等の担当者が知らないうちに、各事業部が第三者と取引を始めていた、という例も多くあると思います。各事業部なども含めた全社を対象に移転価格税制への意識を高めていくことが、未認識の移転価格課税リスクの発生を抑止できるものと考えます。

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