移転価格辞典
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準ずる方法および同等の方法

独立価格比準法、再販売価格基準法、原価基準法を総称して基本三法と呼ぶと説明してきましたが、この基本三法とは別に租税特別措置法には「基本三法に準ずる方法」が規定されています。

基本三法の適用にあたっては、第3項から第5項で述べたとおり、比較可能な取引の選定に際し非常に高い比較可能性が要求されます。基本三法に準ずる方法とは基本三法の考え方から乖離しない限りにおいて適用が認められる方法です。基本三法を適用するための比較対象取引を見出すことが困難な国外関連取引において、適切な類似の算定方法とすることで比較対象取引を選定できる場合や適切な取引を比較対象取引とすることで独立企業間価格を算定できる場合に適用されます。基本三法に準ずる方法の適用の可能性がある場合には、当該方法も念頭に置き、比較可能性の検討を行う必要があります。ただし、基本三法に準ずる方法の適用にあたっては、基本三法において比較対象取引として求められる比較可能性の要件まで緩めることを認めるものではないため、棚卸資産の種類、役務の内容等、売り手又は買い手の果たす機能、契約条件、市場の状況、売り手又は買い手の事業戦略など租税特別措置法関係通達66の4(3)-3に掲げる要件を満たしていない場合には適用することができません。例えば、国外関連取引と比較可能な実在の非関連取引が見いだせない場合に、商品取引所相場など市場価格等の客観的かつ現実的な指標に基づき独立企業間価格を算定できるケースや、棚卸資産を特殊な関係のある関連者を経由して非関連者に販売する場合に、非関連者への販売価格から再販売価格基準法を適用する場合の通常の利潤の額を控除して関連者への販売価格を設定し、これに基づき国外関連取引に係る独立企業間価格を算定できるケースなどは、基本三法に準ずる方法として適用できる可能性があります。

また、移転価格算定方法には基本三法と同等の方法、基本三法に準ずる方法と同等の方法あるいは利益分割法やTNMMなどその他政令で定める方法と同等の方法があります。基本三法、基本三法に準ずる方法、利益分割法やTNMMは、棚卸資産の売買取引に用いられる方法ですが、棚卸資産の売買取引以外の取引については、これらの方法を適用する場合、正式には「○○と同等の方法」と呼ばれます。

典型的な例として、第3項の独立価格比準法でも紹介したCUT法があります。独立価格比準法のように、検証対象となるロイヤルティについて比較対象となるロイヤルティ契約を検証する方法です。ただし、全く同じ契約は存在しないため類似する複数の契約を検証してレンジを構成するなど、少々のアレンジを加える必要がありますし、棚卸資産の売買取引以外のものですので、正式には「独立価格比準法に準ずる方法と同等の方法」と表記します。このほかにも、利息や役務提供などの移転価格算定方法は「○○と同等の方法」として表記されます。

法人税申告書の別表十七(四)は、国外関連者の明細書と呼ばれています。ここに、それぞれの取引種類ごとにその移転価格算定方法を記載する欄があります。この欄の書き方から、移転価格税制に関しての知識レベルや対応状況がうかがえます。正しい理解のもと、「○○に準ずる方法と同等の方法」のような表示ができる会社については、移転価格税制の対応がしっかりできているという印象を受けるのではないかと思います。

なお、本書では説明の便宜上、このような正式な表記を省略しています。
(準ずる方法と同等の方法☞措法66の4②1二、措令39の12⑧6、措通66の4(6)-1、66の4(7)-1~6)
(比較対象取引選定の諸要素☞措通66の4(3)-2、66の4(3)-3)

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