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コラム

各国移転価格NEWS~中国~

 2016年7月13日に、国家税務総局はOECDのBEPSに基づいた公告42号を公表し、国別報告書、マスターファイル、ローカルファイルの3層の移転価格文書に加えて特殊事項ファイルに関する新しい規則を提示し、2016年1月1日の会計年度から適用することを公告しました。
 公告42号によると、それぞれの文書について次のように規定してあります。
・国別報告書:提出義務者は当該納税者が多国籍企業グループの最終持株会社で、同時に連結収入が55億人民元(BEPS 行動計画13の基準である750百万ユーロに相当)を超える事業体あるいは、多国籍企業グループに国別報告書の報告者と指定された事業体。記載内容はOECDのBEPS行動計画13に則る。言語は中国語か英語。
・マスターファイル:提出義務者は海外関連取引のある企業や多国籍企業で、取引額が10億人民元を超える企業。記載内容は基本的には行動計画13に沿ったものだが、追加情報として、
1.グループ内の産業構造の調整、機能、リスク又は資産の移転、
2.主要研究開発機構の機能、リスク、資産と人員の状況、
3.国別報告書を提出する企業の名称と所在地、
4.グループ内の各メンバー実体が締結した二国間事前確認、について記載。言語は中国語。
・ローカルファイル:提出義務者は年度内に関連者間取引総額が、有形資産取引で2億人民元超、金融資産取引で1億人民元超、無形資産取引で1億人民元超、さらにその他の関連取引合計金額が4,000万人民元を超える場合。但し、国内関連者間取引においては免除。取引価格設定に影響を与える要素、バリューチェーン分析、対外投資、関連者間持株譲渡、
5.関連者間投資について記載。言語は中国語。
・特殊事項ファイル:提出基準は、コストシェアリング契約を締結あるいは実施している場合、企業の関連負債資本比率が基準値を超え、独立企業原則に基づくことを説明する必要がある場合。記載内容はコストシェアリング契約特殊事項ファイルには、非参加企業による成果の使用状況、及び支払われた金額の参加企業の間での配分方法、予測収益の計算等。
2.過少資本特殊事項ファイルには、非関連者間の融資条件、融資金額及び利率を受け入れる可能性又は意思の有無。中国語。

 このように公告42号でOECDに則った3層の移転価格文書と特殊事項ファイルについての規定が示されたことを受け、2017年12月に公告46号が公表され、国別報告書および情報交換制度について明確な指針が示されました。公告46号に先立ち、2017年1月に中国では、多国間税務執行共助条約(「条約」)が施行されました。同条約は欧州評議会とOECDによってすすめられ、両者のメンバーである国家による署名により1988年1月に締結され、2010年の修正により世界各国が条約国の一員となれるようにしました。目的は税務当局間の国際的な協力が円滑に進むように締結し、脱税や納税回避に対する取り組み、法の遵守がなされることを目的とする一方、納税者の基本的権利を守ることも意図しています。同条約は関係国家間で税務協力や情報交換を促進するという点において現在国際的に最も包括的な条約といえます。同条約のもとで、2017年12月19日現在、権限のある当局多国間合意(Multilateral Competent Authority Agreement: MCAA)には68カ国の国々が署名をおこなっています。
 中国では同条約における情報交換に関して、具体的に2016年に公表された公告42号の国別報告書に関する条項で規定されてあります。特に第7条では、税務当局は中国と外国間の協定に従い情報交換が施行されなくてはいけない、第8条では情報交換を通して国別報告書を得ることができなければ、特別税務調査の施行で中国の企業に国別報告書を提出するように要求することが明確に述べられています。
国際税務総局は公告46号で次の解釈を示しています。第一に、中国を居住地とする多国籍企業の最終持株会社は、公告42号に示されている要求に当てはまる場合には、税務当局に国別報告書を提出しなくてはならない、第二に、多国籍企業である外資系企業の場合、最終持株会社の国の規定にしたがって国別報告書を準備するのであれば、中国企業に国別報告書を提出するよう要求することはない。しかしながら、同会社が公告42号のもとで要求される必要な基準に達している場合には文書を提出しなくてはならないとされています。
中国では既述のMCAAには2016年5月に署名をしましたが、2016年国別報告書に関しては、まだ、MCAAの効力を発しておらず、国別報告書の交換は行われないことが公告46号で明確に述べられています。一方で、中国は2017年7月にイギリス、フランスとドイツとMCAAを有効化しました。つまり、2017年の国別報告書ではこれら3つの国々と情報交換をおこなうことになります。今後はますます国家間の情報交換制度が施行されていくことになるでしょう。

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