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移転価格とは

移転価格とは

(1) 移転価格税制の概要

移転価格税制とは、資本関係等のある関連者間の取引価格を操作することによって、特定の関連者の得るべき所得が他国の関連者に移転することを防ぐことを目的とするものです。結果として海外に所得移転が行われているケースを問題としているのであって納税者に租税回避の意図があったかどうかは問われません。

移転価格税制上、関連者間の移転価格は、「独立企業間価格」、すなわち独立第三者間であるならば付されたであろう金額でなければならないとされています。移転価格と独立企業間価格が乖離した場合について、納税者の申告所得が減少する場合のみが問題視され、逆のケース(所得流入)については通常取り扱われません。検討は原則として事業年度ベースでなされます。また、当該取引の対価の額と独立企業間価格との差額については、損金の額に算入されません。

具体例として、日本親会社が製造原価50で製造した製品を第三者に100で販売し、中国子会社が顧客に150で販売するケースで考えてみます。
移転価格税制例
上記のケースで親会社から子会社への販売価格を100ではなく80に下げた場合、日本、中国及び合計所得を示すと以下のようになります。この場合には、日本の所得が30に減少し中国の所得が70に増加します。つまり、親会社から子会社への販売価格を操作することにより、日本の所得を意図的に減少させることが可能です。このような操作の結果、日本からの所得の海外移転に対処するため移転価格税制が整備されています。
販売価格
(日本親会社→中国子会社)
日本側所得 中国側所得 中国側所得
100 50 50 100
80 30 70 100

(2) 移転価格税制の適用対象者

移転価格税制は、海外への所得移転を防止する趣旨で導入された経緯から、内国法人が海外への所得移転を行いやすい外国法人を移転価格税制の適用対象者である国外関連者として位置づけ、株式等の保有割合で判断する形式基準と、株式等の保有割合以外の支配関係で判断する実質基準の二つの視点で国外関連者の判定を行います(措置法第66条の4第1項、措令第39条の12第1~第4項、措置法通達66の4(1)-3)。

形式基準

移転価格税制の形式基準について

実質基準

特定事実 役員及び使用人関係 他方の法人の役員の1/2以上又は代表する権限を有する役員が、当該一方の法人の役員若しくは使用人を兼務している者又は当該一方の法人の役員若しくは使用人であった者であること(実際に職務についている場合)
一方の法人の役員の1/2以上又は代表権を有する役員が他方の法人によって実質的に決定されている関係(職務に就いていないが、決定されている場合)
取引関係 一方の法人がその事業活動の相当部分を他方の法人との取引に依存している関係
資金関係 一方の法人がその事業活動に必要とされる資金の相当部分を他方の法人からの借入(債務保証の場合を含む)に依存している関係
無形資産関係 一方の法人が他方の法人から提供される事業活動の基本となる著作権、工業所有権、ノウハウ等に依存している関係

(3) 移転価格の算定方法

独立企業間価格の算定については、法定の算定方法のうち、国外関連取引の内容及び国外関連取引の当事者が果たす機能その他の事情を勘案して、国外関連取引が独立の事業者の間で通常の取引の条件に従って行われるとした場合に国外関連取引につき支払われるべき対価の額を算定するための最も適切な方法を選定することにより行う必要がります(措置法第66条の4第2項)。なお、独立企業間価格の算定における各算定方法の概要は以下のとおりです。

1. 独立価格比準法(Comparable Uncontrolled Price Method:CUP法)

国外関連取引に係る価格と比較対象取引に係る価格を直接比較することから、独立企業間価格を算定する最も直接的な方法
独立価格比準法

2. 再販売価格基準法(Resale Price Method:RP法)

国外関連取引に係る粗利率(売上総利益/売上高)の水準と比較対象取引に係る粗利率の水準を比較する方法
再販売価格基準法

3. 原価基準法(Cost Plus Method:CP法)(Resale Price Method:RP法)

国外関連取引に係るマークアップ率(売上総利益/売上原価)の水準と比較対象取引に係るマークアップ率の水準を比較する方法
原価基準法

4. 取引単位営業利益法(Transactional Net Margin Method:TNMM)

国外関連取引に係る営業利益の水準と比較対象取引に係る営業利益の水準を比較する方法
取引単位営業利益法

5. 利益分割法(Profit Sprit Method:PS法)

比較対象取引を見いだせない場合などに有用な方法。利益分割法には、比較利益分割法、寄与度利益分割法及び残余利益分割法の3つの類型があり、特徴はそれぞれ次のとおりです。

◆ 比較利益分割法
比較利益分割法は、国外関連取引と類似の状況の下で行われた非関連者間取引に係る非関連者間の分割対象利益等に相当する利益の配分割合を用いて、当該国外関連取引に係る分割対象利益等を法人及び国外関連者に配分することにより独立企業間価格を算定する方法

◆ 寄与度利益分割法
寄与度利益分割法は、国外関連取引に係る分割対象利益等を、その発生に寄与した程度を推測するに足りる国外関連取引の当事者に係る要因に応じてこれらの者に配分することにより独立企業間価格を算定する方法

◆ 残余利益分割法
残余利益分割法は、国外関連取引の両当事者が独自の機能を果たすことにより、当該国外関連取引においてこれらの者による独自の価値ある寄与が認められる場合において、分割対象利益等のうち基本的利益を国外関連取引の両当事者にそれぞれに配分し、当該分割対象利益等と当該配分をした基本的利益の合計額との差額である残余利益等(独自の価値ある寄与により発生した部分)を、残余利益等の発生に寄与した程度を推測するに足りる要因に応じてこれらの者に配分し、独立企業間価格を算定する方法

(4) 移転価格の文書化

平成22年税制改正により移転価格文書の内容の明確化が図られ、財務省令(租税特別措置法施行規則第22条の10)においてその具体的な内容が定められました。財務省令で定められた書類の範囲は「国外関連取引の内容を記載した書類」及び「国外関連取引について法人が算定した独立企業間価格に係る書類」となっており、その概要は以下のとおりです。

①「国外関連取引の内容を記載した書類」
  • 取引に係る資産の明細・役務の内容
  • 取引において双方が果たす機能・負担するリスクに係る事項
  • 取引において使用した無形資産の内容
  • 取引に係る契約書又は契約の内容
  • 取引の対価の額の設定方法、設定に係る交渉の内容
  • 取引に係る損益の明細
  • 市場に関する分析その他市場に関する事項
  • 関連者双方の事業方針
  • 取引と密接に関連する他の取引の有無及びその内容
②「国外関連取引について法人が算定した独立企業間価格に係る書類」
  • 選定した移転価格算定方法、選定理由、その他独立企業間価格を算定するに当たり作成した書類
  • 採用した比較対象取引等の選定に係る事項、比較対象取引等の明細
  • 利益分割法を選定した場合の関連者双方への帰属金額を算出するための書類
  • 複数の国外関連取引を一取引として独立企業間価格の算定を行った場合の理由及び各取引の内容を記載した書類
  • 比較対象取引等について差異調整を行った場合の理由及び方法を記載した書類
上記財務省令で定められた書類について、一般的には以下の項目が記載された移転価格文書を作成します。
項目 内容
事実分析 分析対象となる関連者の概要、資本関係、グループの概要、組織構造、各関連者の損益状況及び属する業界の概要等の基本的事実の分析
関連者間の取引状況 商流図を作成することにより、関連者間取引の取引形態及び取引フロー、取引額、価格設定方針、価格交渉過程等の状況
機能・リスク分析 分析の対象となる取引を行っている関連者の機能及びリスクの分析
経済分析 上記分析結果に基づき、分析対象取引における適正な移転価格算定方法の決定、比較対象企業取引の選定及び利益率レンジの算定等の分析

(5) 事前確認(APA)

事前確認(APA)とは、納税者が税務当局に申し出た独立企業間価格の算定方法等について、税務当局がその合理性を検証し確認を与えた場合には、納税者がその内容に基づき申告を行っている限り、移転価格課税は行わないという制度です。
また、APAの目的は、独立企業間価格の算定に関して、税務当局と納税者の間で事前に確認することにより、移転価格課税に関する納税者の予測可能性を確保し、移転価格税制の適正・円滑な執行を図ることにあります。
APAの類型としては、国内事前確認と、二国間事前確認があります。国税庁は、税務行政上及び企業経営上の双方の視点から、二国間事前確認を積極的に推進しています。その理由は、国内事前確認においては、その締結後も国外関連取引を有する外国の納税者が外国の税務当局に課税され、二重課税が生じるリスクが依然として残るのに対して、二国間事前確認においては、そのようなリスクが外国の税務当局との相互協議を通じて回避されるためです。
国税庁の二国間事前確認への積極的な姿勢は、移転価格事務運営要領5-12(1)において、「局担当課は、確認申出法人が事前確認について相互協議の申立てを行っていない場合には、二重課税を回避し、予測可能性を確保する観点から、当該確認申出法人がどのような申出を行うかについて適切に判断できるよう必要な情報の提供等を行い、当該確認申出法人が相互協議を伴う事前確認を受ける意向であると確認された場合には、相互協議の申立てを行うよう勧しょうする。」と明記されていることからも明らかであるといえます。

(6) 相互協議

移転価格課税が行われると、一方の国において既に課税済みの所得に対して、他方の国が再度課税することとなるため、課税が行われた時点で二重課税が生じることになります。
二重課税からの救済措置として租税条約に基づく相互協議という手段があります。相互協議とは租税条約の規定に基づく条約締約国の権限ある当局間の協議を言い、租税条約を締結している国家間の二重課税問題の場合、その協議を申請することが可能です。
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