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事例紹介

インタビュー記事 移転価格文書化 専門家サービス利用

齋藤慎税理士事務所 税理士 齋藤 慎 先生
Q1.サービス導入のきっかけについてお聞かせください。
お客様の海外子会社設立がきっかけでした。
新国税通則法の施行により、2013年以降の税務調査では、一般の法人税調査の中で移転価格調査も実施されるという位置付けに変わったこともあり、お客様からも、当初から合理的な考えに基づくルール決めをし、税務リスクを最小限に抑えた体制を整えたいとのご希望がございました。
しかしながら、弊所のみではそのノウハウに乏しく、経済分析等に使用するデータベースを単独で利用することも現実的でなかった為、サポート頂けるコンサルティングファームを探したところ、貴社のサービスに巡り合いました。
Q2.導入の決め手等がございましたらお聞かせください。
移転価格に関するセミナーや専門書籍「移転価格文書の作成のしかた」を通じて、移転価格税制について分かり易く解説されていらっしゃったこと、また導入し易い価格でサービス提供を受けられることに併せてノウハウも取得できるという点が、今回の導入の決め手となりました。
Q3.サービス導入のメリットや感想等をお聞かせください。
最初に移転価格文書作成キットの提供を受けることができ、どのような点にフォーカスして対策を立てるべきか等について早い段階で明確となり、お客様との遣り取りもスムーズに行うことができました。
また、経済分析に必要なデータ等については、条件を伝えるのみで迅速に提供いただくことができ、その分析方法等についても、経験豊富な方々のサポートを受けながらそのノウハウを吸収することができたことで、想像以上に効率的に対応できたように感じています。
Q4.今後の利用・展開等についてお聞かせいただけると幸いです。
法改正等により、大企業のみならず、税務署管轄の中小企業についても移転価格に関する調査が実施される可能性が高くなっていること、また、グループ会社の適切な管理の面からも、移転価格税制を念頭に置いた対策をとることは非常に重要だと考えます。とはいえ、大企業とは異なり、その対策に多額のコストや多くの工数をけることは難しいのが現実です。安価ながらも、押さえるべき点をきちんとカバーでき、同時に移転価格に関するノウハウを得ることのできる貴社のサービスを是非今後も活用させていただき、お客様へより良いサービスを提供できるよう努めたいと思います。

事例紹介

事例①日本子会社の移転価格分析
概要
・米国企業が1990年代に日本支店を設置、その後業績拡大に伴い日本子会社を設立しました。
・日本子会社は米国親会社が製造した製品を輸入し、日本及びアジアで販売しています。
・重要な無形資産は全て米国親会社に帰属しており、日本子会社は一定の販売機能を有しています。
・米国親会社からの仕入価格は、原価に対してマークアップ率30%で設定しています。
・2009年以降の急速な円高に伴い仕入価格が低下、さらに販売戦略の見直しにより事業が急拡大、
 売上高営業利益率が5から25%に急上昇しました。
関連者間取引フロー
日本子会社の移転価格分析事例
事例詳細
これは、親会社を米国に持つ、日本子会社の移転価格分析を行った事例です。
日本子会社では、米国親会社で製造された製品を日本およびアジアの第三者に販売しており、米国親会社からの仕入価格は原価に対してマークアップ率30%で設定されていました。当初は営業利益率5%程度で推移していたのですが、国外関連取引をUSドル建てで行っていたため、2009年以降の急激な円高により仕入価格が低下し、従来よりも安い価格で製品を仕入れることができました。また販売戦略の見直しにより取引先の拡大に成功し、日本子会社の営業利益率は25%に急上昇しました。日本子会社で十分に利益を計上している限り、日本の移転価格税制上問題になることはないのですが、米国の税務当局側から見ると日本の外国子会社に多額の利益を移転させているとみられる可能性があります。そこで、当該グループ会社間で行われている取引が移転価格税制上問題になるのかを明らかにするための分析を行いました。

日本子会社の機能リスク分析を行ったところ、日本子会社は米国親会社から仕入れた製品を販売するという非常に単純な機能しか担っていませんでした。管理部門等は無く、10名程度の従業員で営業を行っている会社で、在庫リスク等のリスクも負っていません。独立価格比準法を適用し得る取引は存在せず、再販売価格基準法を適用するための情報の入手が困難であると判断し、利益法の適用を検討しました。日本子会社が単純な販売機能しかなく重要な無形資産も存在しない会社であると考えられるため、移転価格算定方法はTNMMを採用しました。また、日本子会社は第三者に販売しているため、客観的な指標として活用できる売上高営業利益率を利益水準指標としました。経済分析を行ったところ、日本子会社の適正なレンジは2~5%という結果になりました。このレンジの上限を超えている場合には、米国の税務当局による移転価格調査により移転価格課税を受ける可能性が高いということになります。

このような場合、日本子会社の営業利益率を抑えるためには取引価格の見直しを行う必要があります。一般的には棚卸資産の価格を調整する方法と、超過利益分をロイヤルティで回収する方法が検討されます。棚卸資産の価格を調整する場合、日本子会社の利益を下げるためには日本子会社への販売価格を上げるか、あるいは日本子会社からの購入価格を下げるかのいずれかによります。本事例における国外関連取引は米国親会社から日本子会社への販売のみであるため、棚卸資産の価格で調整する場合には日本子会社への販売価格を上げる方法が考えられます。価格改定には移転価格だけではなく関税にも注意が必要です。

関税は輸入品に対して課される税ですが、輸入品である棚卸資産の価格が上がると関税額も上がり、棚卸資産の価格が下がると関税額も下がります。移転価格の世界では棚卸資産の価格が上がると利益率が下がり、棚卸資産の価格が下がると利益率が上がるため、関税と移転価格税制は密接な関係にあるといわれています。関税額が下がると、税務当局により価格改定について説明を求められる可能性があります。
また、棚卸資産の価格を上げる場合においても過去において同様の製品が安い価格で取引されていれば過去の価格の妥当性を求められる可能性があります。

次に、超過利益部分をロイヤルティで回収する場合ですが、この方法は外国子会社と棚卸取引が無い場合などにも有効な方法です。ただし、国によってはロイヤルティに制限を設けているところもありますので現地税制による制限の有無を確認することが重要です。ロイヤルティの送金自体ができない、あるいは損金算入が認められないということもありますので、検討の初期段階での調査が必要です。

本事例では、超過利益をロイヤルティで回収することも検討されました。
日本子会社側らは、米国親会社が超過利益をロイヤルティで回収するとの一方的な意思決定に対する反発があり、その理解を得ることに苦心しました。当然日本子会社としては自分たちの努力で販売の拡大を行ってきたわけですから、利益を米国親会社に徴収されるのは納得いかないところもあるでしょう。今回の価格改定で25%を超えていた営業利益率が2~5%に引き下げられるということは、今度は日本の税務当局の注意を惹く可能性があります。日本において移転価格調査となった場合、日本の税務当局に対して、移転価格分析に基づき取引価格を設定し各関連者に帰属する利益を管理していることを説明する必要があります。したがって、米国の税務当局への説明との一貫性を保持するため、親子会社間で認識を一致させて日本の移転価格文書化を行っていく必要があります。
なお、本事例は大幅な価格改定を要することから、関税の負担増が見込まれます。
関税の観点からは、価格改定だけでなくロイヤルティで回収する部分についても実質的には製品価格の上乗せ部分とみられる可能性が残ります。
事例②日本親会社における移転価格文書作成
概要
・国内20社・外国10社の計30社の連結子会社を有する日本企業グループです。
・外国子会社はシンガポールを中心としたアジア各国に所在しています。
・大手税理士法人が移転価格リスク分析を行い、さらに全面委託方式による移転価格文書作成の提案を
 行いましたが、金額が高くノウハウの吸収もできないことを懸念。
・部分委託方式による移転価格文書の作成を提案したところ、ノウハウの吸収が期待できることから
 コンサルタントとして採用され、日本親会社の移転価格文書作成をサポートしました。
関連者間取引フロー
日本親会社の移転価格分析事例
事例詳細
日本企業グループの移転価格文書作成に関する事例です。
日本親会社は1970年から1980年代に国内で急成長、その後海外に進出し、現在国内に20社、海外に10社の外国子会社を保有しています。最初に、取引規模や外国子会社の利益率等を考慮し、検証対象企業をシンガポールおよび香港の2社に絞り込みました。聴き取り調査を行ったところ、香港子会社は過去に合弁で設立された法人を買収したもので、日本親会社の事業とは全く異なる事業を行っており、日本親会社からのノウハウの供与等も行っていませんでした。機能リスクや無形資産の内容が大きく異なり、また日本親会社への依存関係も低いと思われるため、今回の検証対象企業から外しました。

したがって、シンガポールとの取引についてのみ移転価格の妥当性の分析を行い、移転価格文書の作成を行いました。会社の希望は、移転価格文書作成の全面委託方式ではなく、自社のノウハウの蓄積のため可能な限り会社自身が作業を行うことでした。そこで、当初8ヶ月の契約を結び、会社担当者にテンプレートを渡して記入をしてもらい、それをもとに会社の実務担当者に聴き取りを行いました。コンサルタントは分析内容を確認し、必要に応じて修正、加筆を行うという部分委託方法で移転価格文書を作成しました。機能リスク分析の結果、シンガポール子会社には単純な機能しかなく、重要な無形資産の所在、リスクの所在は日本親会社にあることがわかりました。

移転価格算定方法は外国子会社を検証対象とするTNMMを採用し、利益水準指標を売上高営業利益率としました。また検証に支障がないとの判断から、シンガポール子会社の全体の利益を一の取引単位としました。外部データベースから比較対象企業を複数選択し、レンジを算定したところ、シンガポール子会社の利益率はレンジの中に収まっていることが確認できました。しかし、機能リスク分析の過程で、過去に他のコンサルタントにロイヤルティ料率について検証を依頼した経緯があり、ロイヤルティ料率が低いという結果が出ていることが発覚しました。
そこで、ロイヤルティ料率についての検証も別途行うことになりました。

ロイヤルティ料率の検証を行う場合、Royalty Statという他社のロイヤルティ契約を収納したデータベースを用いて比較対象取引を選定する方法があります。しかし今回のケースでは、過去に行った検証結果に照らして、現行のロイヤルティの徴収が適切であると説明づけることが第一目的となりました。また、ロイヤルティの金額がそれほど高くなかったことから、再度Royalty Statによる検証を行うのではなく、費用対効果の観点から、別の公開情報として経済産業省から発行されている「ロイヤルティ料率データハンドブック」を用いることとしました。
ロイヤルティ料率データハンドブックの情報から、妥当な料率の範囲内に収まっていることで、ロイヤルティ料率の妥当性を証明することにしました。

また、役務提供取引の移転価格設定方針(ポリシー)を策定していないことが発覚したため、当該ポリシーを策定することになりました。まずは外国子会社に対してどのような役務提供を行っているか洗い出しを行い、外国子会社に対して対価を請求する役務提供の範囲を定めます。基本的には事務運営要領を参照し、外国子会社から徴収すべき役務提供対価を決定していきます。
直接費とは主に出張者の人件費等が挙げられますが、これについては出張者の職務階級を3つに分類し、それぞれの人件費の平均値から出張1日当たりの直接費を算出しました。

次に間接費については、日本親会社で発生している一般管理費から該当科目の金額を抽出し、全従業員の総労働日数で除して算出しました。これで、外国子会社に対する役務提供に係る1日あたり総原価が決定されたので、あとはどれだけのマークアップを乗せるかです。妥当性の高い経済分析を行うにはこれもデータベースから同様の取引を行う企業を抽出して独立企業間のマークアップ率を決定する必要があります。
しかしながら、役務提供取引の金額的な規模が小さく、データベースを用いて検証するほどの重要性を持たないと判断し、今回の事例ではEUの移転価格委員会のレポートや中国の通達を参考にマークアップ率を決定しました。
最終的に、直接費および間接費の総原価に決定されたマークアップ率を加算して、各外国子会社への役務提供対価を計算するという移転価格ポリシーを策定しました。
事例③会計事務所に対する移転価格文書作成支援
概要
・会計事務所A: 地方の中堅会計事務所
・日本企業B: 会計事務所Aのお客様

・会計事務所Aは、日本企業Bから移転価格文書作成の依頼を受けました。
・もし、日本企業Bが会計事務所Aではなく、大手税理士法人に移転価格文書作成を依頼した場合、
 その業務を足掛かりに会計事務所Aの監査業務・コンサルティング業務まで奪われてしまう
 おそれがありました。
・会計事務所Aは、ある程度移転価格税制に対する知識があり、将来的に自社で移転価格文書を作成したいと
 考えていました。しかし、現時点では移転価格文書に係る経験の積み上げが必要であり、
 またデータベース使用料が非常に高額なため、独自の作成は難しいと判断しました。
・会計事務所Aに対して、ベンチマーク方式と作業量に応じたコンサルティングによる移転価格文書の作成を提案
 したところ、独自にデータベースを借りるよりコストが安く、移転価格文書の作成に係るノウハウも吸収
 できることからコンサルタントとして採用され、会計事務所Aによる移転価格文書作成をサポートしました。
事例詳細
地方の中堅会計事務所Aのお客様である日本企業Bは、海外子会社における利益率が非常に高かったことから、日本での移転価格課税リスクを憂慮して移転価格文書の作成を会計事務所Aに打診しました。もし、日本企業Bが会計事務所Aではなく大手税理士法人に移転価格文書の作成を依頼した場合、会計事務所Aの監査業務・コンサルティング業務まで大手税理士法人に奪われてしまう恐れがありました。会計事務所Aに対して、ベンチマーク方式と作業量に応じたコンサルティングによる移転価格文書の作成を提案したところコンサルタントとして採用され、会計事務所Aによる移転価格文書作成をサポートしました。プロジェクトの役割分担として、会計事務所Aが日本企業Bから情報収集を行い移転価格文書のドラフトを作成し、コンサルタントが経済分析の実施と移転価格文書のレビューを行いました。また、日本企業Bとの連絡は会計事務所Aが行い、コンサルタントは会計事務所Aの裏方に徹しました。

会計事務所Aが日本企業Bの事業を詳細に理解していたため、日本企業Bに対する情報収集は必要最小限となりました。そして、プロジェクトにおいて生じた実務的な問題点は、会計事務所Aがコンサルタントと協議し、日本企業Bに回答しました。また、経済分析については、日本企業Bが選んだ移転価格算定方法によりコンサルタントが実施し、会計事務所Aが内容を把握した上で日本企業Bに提出しました。結果として、会計事務所Aは高度な税務サービスを提供できたことにより、日本企業Bからのさらなる信頼を勝ち得たようです。日本企業Bも事業を詳細に理解している会計事務所Aが作成してくれたため、作業負担も少なく費用対効果の高いプロジェクトとなりました。
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