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コラム

各国移転価格NEWS~オーストラリア~

オーストラリアの移転価格をめぐる今日の状況は目まぐるしい変化に置かれているといえます。移転価格に係る新しい規制等が次々に発表され、あるいは更新され、MNE、特にSGE(年間グローバル総収入が10億オーストラリアドル以上のグローバルオーストラリア法人納税者であり、在豪日系多国籍企業も含む)にとってはますます複雑な状況となってきています。また、オーストラリアは新多国籍企業租税回避防止法(以下、MAAL)やオーストラリアローカルファイル(以下、ALF)などを導入しており、OECDの指針に則ってはいるものの独自な展開をしてきているといえます。
ここで近年の動向を時系列に追ってみると、2012年の遡及移転価格規則の導入に引き続き、2013年にはOECDの移転価格ガイドラインに則って移転価格税制の改定がなされ、自己申告と文書化に関する重要な義務が導入されました。ここでは納税者が文書化を行わなければ、「合理的に議論し得るポジション」をとれないことが明記されています。適切な文書化が行われた結果、納税者が「合理的に議論し得るポジション」にいる場合には、納税者は加算税に対し減免を受けることが可能となります。
2014年後半にオーストラリア税務局(以下、ATO)は初の正式なガイダンスをリリースしました。このガイダンスにはreconstruction規定と、Tax Administration Act 及び1953におけるSubdivision 284-E Schedule 1に対応した移転価格文書の作成方法が含まれています。更に改定後の罰則及び文書作成の簡略化の適格基準の運用規定もリリースされました。
2015年には新移転価格制度が公表され、①財務報告の義務化、②MAAL導入( 2016年1月1日から適用)、③租税回避防止ないし移転価格関係の調整に係るペナルティーの増額(2015年7月1日以後開始年度に係る調整から適用)、④国別報告、マスターファイル、ローカルファイルの移転価格文書化適用( 2016年1月1日以後開始年度から適用)が導入されました。これらは、グローバル所得が10億オーストラリアドル超のオーストラリア及び外国の多国籍企業に適用されることになります。①の財務報告の義務については、SGEは、オーストラリアでの活動に係る一般目的財務報告の作成が求められ、同情報はオーストラリア証券投資委員会(以下、ASICS)と共有されなければならないとされます。国別報告と違う点は、ASICSに提出された書類は公開されます。また、違反の場合のペナルティーも課せられます。②のMAALは租税回避防止ルールを改正するものであり、物品・サービスをオーストラリアの顧客に提供し、これらの海外売上からの収益を計上する多国籍企業にターゲットを絞っています。主たる目的はオーストラリアの租税回避と外国の租税債務の減少です。③の租税回避と移転価格調整に係るペナルティーの大幅増額について、追徴税額の最高100%まで課せられ得ることがあります。「合理的な論拠」があれば、この高いペナルティーが課せられることはありませんが、移転価格については、適正な移転価格文書が関連年度の確定申告書の提出時までに作成されている場合に限られます。④の移転価格文書の義務化に関しては、OECD基準に沿って国別報告書、マスターファイル、ローカルファイルの作成を義務化しました。SGEに提出の義務が課せられます。提出期限は税務年度終了から12か月以内で、代理提出を行う場合はローカルファイルにて宣言、国別報告書及びマスターファイルを提出する法人名を報告する義務があります。国別報告書及びマスターファイルの提出義務の免除を受けていてもローカルファイルは提出しなくてはなりません。ローカルファイルに関しては翌年2016年にALFとして、OECDとは異なるローカルファイルの枠組みが提示されました。
 このように移転価格をとりまく法制が変化するなかATOは2017年4月にローカルファイルとマスターファイルのための複合XMLスキーマおよび詳細設計を公表しました。そこでは、マスターファイルとALFはXMLスキーマフォーマットを使用して提出しなくてはならないと定めてあります。また、ALFはショートファイル、パートAとパートBで提供される取引や事業情報同様に、マスターファイルや国別報告書に関する事項を取り扱う方針等も示されています。またATOはこのように複雑化していく文書化の手続きについてウエブサイトでガイダンスを提供始めました(2017年1月より開始され、4月に更新)。そこでは、「国別報告書、マスターファイル、ローカルファイルはいつ提出するのか」、「どのように提出すればよいのか」、「どのような条件で国別報告書の免除は認められるのか」、「ALFは他の移転価格文書と置き換え可能なのか」等、納税者が疑問にするような項目をあげ、回答をしています(下記参照)。
https://www.ato.gov.au/Business/International-tax-for-business/In-detail/Transfer-pricing/Country-by-Country-reporting/Country-by-Country-reporting–local-file—master-file-detailed-design/
オーストラリアでは今後も移転価格に関する新たな規制やATOのコンプライアンス活動も活発化し、ますます目が離せない状況となるでしょう。

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